まだまだ寒い毎日が続きますが、皆さんお元気でしょうか?
春が待ち遠しいですね。

『山崎通信』第17号をお届けいたします。

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____山__崎__通__信____________2005.02.09_第17号
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┃趙紫陽とグリーンスパン
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 東京国立博物館で、鑑真和上の座り像を間近に見て、しばらく動けません
 でした。左目が右目よりも下がるところまで克明に写し取った像は、何を
 押し付けるでもなく、ただ自らに厳しいお姿。鑑真が失明も乗り越えて67才
 でついに日本に仏教を伝えた後、中国では仏教は急速に衰えたのです。
 初めて門の外に出たという、唐招提寺金堂の仏様はなんとさまざまな姿を
 していることか。恐ろしげににらむ四天王。厳しいまなざしでじっとこちら
 を見つめる如来。しかし、本当はひとつの釈迦であるといいます。すべての
 生けるものも物質も、その姿、すなわち「色」はさまざまですが、同じ本質
 である元素「空」に還元されるといいます。色即是空、空即是色。姿と本質、
 どちらも真実であり、また仮であるのでしょうか。

 趙紫陽が亡くなりました。忘れ去られたようなさびしい死でした。

 1989年、天安門広場に集まる学生に「わたしが来るのが遅すぎた。」と
 いいながら、涙を流して平和的な解決を呼びかけたかつての中国の総書記が
 亡くなりました。胡耀邦と並んで、日本に学ぶこと、中国の政治経済は本当
 の改革と民主化が必要なことを訴えた趙紫陽がこの世を去ったのです。
 中国政府は、趙紫陽の死を国民から隠そうとしました。天安門広場は、
 16年前と同じように軍服に占領されました。中国は何を恐れるのでしょう。

 趙紫陽は自己批判を拒み通して死にました。天安門事件の直後には中国を
 非民主国家として経済制裁を加えた欧米は、いつの間にか改革開放、市場
 経済という、とう小平、江沢民が演出する「姿」に魅了されました。
 「中国は2050年に世界一の経済大国になるだろう。乗り遅れるな。」という
 外国企業の中国進出ラッシュが続きます。もちろん日本も負けじと
 参加しています。

 かつて趙紫陽は言いました。「経済の民主化が必要だ。このままでは官僚
 が国営企業を食い物にし、腐敗が横行し、国民を搾取し、実態を無視した
 無駄な投資を招く。」趙紫陽はパージ(追放)されたのです。それからの
 中国は、発展の一方でバブルと格差と腐敗が横行しています。彼の予言が
 的中したにもかかわらず、世界中から資金が中国に殺到しています。
 中国はどこに行くのでしょうか。

 今年末、グリーンスパンFRB議長が退任します。
 レーガン、ジョージ・ブッシュ、クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、
 どの大統領もグリーンスパンに頼ってきました。
 グリーンスパンは、アメリカ経済の名ホームドクターです。アメリカという
 患者は難しい。大きくて体力もあるのですが、欲望や独善に支配される
 ことも多い。景気、物価、雇用、そしてマーケットの基礎的体調から目が
 離せません。欲望が満たされないと働かないから厄介です。

 グリーンスパンは日頃から患者に警告を発し、時には引き締めという苦い薬
 も飲ませます。バブルは早めに処理し、アジア、ロシア、ラテンアメリカ
 など海外の金融危機が世界に広がることを防いできました。その名医たる
 所以は、患者に自然に備わっている治癒力、生命力、成長力という本質を
 重んじ、障害を取り除くことに徹していることです。政治権力というメスを
 振り回すことはめったにありません。気難しく誇り高い患者を、時には
 しかりつけ、丁寧に状態と治療法を説明します。雇われ続けるためには、
 患者の夫人とダンスするようなサービスもしますが、とにかく患者の健康第一
 でこれまで打ち込み、1980年代以降のアメリカ経済の復活を演出して
 きました。その名医が18年の任期を終えて今年で退任します。

 BRICsなどの人口大国が急成長し、資源不足が迫り、インフレも予想される
 これからの世界。ナンバー・ワンの経済大国であり、オンリー・ワンの
 超軍事大国でありながら、国際協調と資源循環型世界の構築にしばしば背を
 向けるアメリカは、グリーンスパンなき後、どこに行くのでしょう。
 そして、グリーンスパンがいない中国は、どうやってバブルを処理するの
 でしょうか。


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┃中央公論2005年2月号(1月10日発売)
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 中央公論2月号に、『やがて中国バブルの崩壊が始まる』と題する論文を
 寄稿しました。日本だけでなく、世界経済の姿に大きな影響のある問題だと
 思います。ご意見、ご指摘をいただければ幸いです。


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● 次号は2005年3月中旬にお届けいたします。どうぞお楽しみに!

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