山崎養世の日本列島快走論 高速道路を無料にして日本再生へ
発表論文

Japam Business Press 『東奔西走』

危機下のドイツに学ぶ、経済成長と赤字削減策
7000億円の投資で10兆円の効果、高速道路無料化は大胆に
(2010年6月30日)



6月2日に鳩山由紀夫総理が突然辞意を表明し、その2日後に菅直人総理が誕生し、参議院選挙が始まりました。

財政再建、経済成長、産業と雇用の創出の3つが実現できる

高速道路無料化政策の生みの親である菅総理は、大都市を除いた地方に限定した新しい高速道路無料化を今こそ実行すべきです。財政再建・経済成長・地方からの新しい産業と雇用、の3つを達成できるからです。

作家の石川好さんの紹介で、菅さんに最初にお会いしたのは、菅さんが民主党代表になったばかりの2003年1月のことでした。

当時の私は、2002年4月にゴールドマン・サックス投信の社長を辞め、本四架橋などの高速道路を無料開放することをマニフェストに掲げて徳島県知事選に立候補したあと、シンクタンクを立ち上げて活動していました。

私が突然徳島県知事選挙に出たのは、2001年4月に誕生した小泉純一郎政権にあまりにも深く失望したからでした。小泉改革は、大企業の日本脱出を支援するけれども、地方の衰退を加速する。

特に、道路公団民営化という名の、世界一高い高速道路の料金の永久化が、便利な大都市への集中、不便でコストが高い地方の過疎、といういびつな国土を固定してしまう。

いつまで太平洋ベルト地帯からの輸出に頼っているのか

すると、「太平洋ベルト地帯からの輸出国家」という、失われた国家モデルを転換できない、という確信がありました。

欧米でのビジネスを経験し、歴史を研究してきた私は、戦前のドイツが世界初の無料の高速道路アウトバーンを造って地域経済を結びつけて失業者を600万人から30万人に低下させ、そのドイツに学んだ米国が戦後全国に造った無料高速道路インターステートハイウェーが、黄金の50年代、60年代と呼ばれる年率3%の高度成長に貢献したことを知っていました。

しかし、日本の高速道路は、20世紀中に無料にする約束を破り、世界一高い料金を取り続け、地方では利用できずに宝の持ち腐れになり、経済の分散化や構造転換が一向に進まない現実を痛感していました。

日本の地方、つまり日本の国土の8割は、自動車しか日常の交通手段がないクルマ社会です。地方の唯一の高速移動手段である高速道路を建設当初の約束通り無料化するのは、地方で生活と仕事ができるための最低条件です。

でも、誰が分かってくれるだろうか。本四架橋を使えば神戸から淡路島を通って70キロ、1時間足らずで着くのに、6000円もの通行料を取られる理不尽を痛感しているに違いない徳島の人だろうか。

産業構造をポスト工業化型にしなければ生き残れない
そんなことを考えている時に、不思議な縁から、2002年4月に徳島県知事選挙に出て、高速道路無料化を訴えたのでした。

菅さんに初めて会った当時の私の認識は、日本はもはや「世界の工場」の地位を中国に奪われ、その地位は二度と帰ってこない。大企業は日本を捨て中国に出ていくしかない。

それならば、残る日本の産業構造を思い切ってポスト工業化型に転換し、農林水産業やサービス業、文化、伝統、観光、科学技術、研究開発、医療、教育などの多様なポスト工業化型産業を育てる必要がある。

産業構造がポスト工業化型になる時、当然、国土の構造とライフスタイルもポスト工業化型になる。自然や文化や伝統に恵まれ、広い土地が安く手に入る地方に経済の拠点が分散していかなくてはいけない、というものでした。

その時、日本がモデルにすべき国は、米国ではなくドイツだ。ドイツは、輸出世界一の技術立国であり、大企業が世界で活躍しながら、美しい町並みや田園風景が守られている。食料の自給率も8割近く、自然エネルギーも普及している。

地方が豊かなドイツを参考にすべし

8000万人を超える人口がありながら、ほとんどの国民は人口が5万人から10万人程度の便利で何でもある「小さな大都市」に住んでいる。100万都市はベルリン、ミュンヘン、ハンブルクの3つしかない。

ドイツでは、世界で最初の無料の高速道路網(アウトバーン)が張り巡らされ、多くの町の中心はクルマ乗り入れ禁止。車道の横に歩道と自転車道があり、路面電車も発達し、この頃は全国に新幹線網も整備されている。

だから、地方に住んでいても、交通は便利であり、人間と環境重視だ。もちろん、日本の大都市のような通勤ラッシュや地価高や物価高とも無縁。緑の森や田園はすぐそばにある。

だから、日本にはない、便利で豊かなうえに、時間と人生にゆとりがある生活が、小さな町にある。

分散型の国土と経済を、ドイツは高速道路からつくり上げた。無料の高速道路というネットワークが地方を結びつけた。日本の本当の構造改革も、高速道路無料化から始めるべきだ。それが私の考えでした。

1時間ですべてを理解した菅総理

こうした考えを、初対面の菅さんにぶつけました。

私は国際金融マンですから、道路公団債務の返済方法、財源、高速道路ユーザーの税と料金の二重取りのカラクリ、逆に民営化し借金での建設を続行した場合の国民負担と無料化した場合の巨大な経済効果の対比を、さらには、なぜ、高速道路無料化が、経済構造の転換と財政再建になるのか、分散型国土に転換できるのか、戦前のドイツや戦後の米国の例も引きながら、プレゼン資料も使って1時間足らずで説明しました。

驚いたのは、菅さんの理解力の早さでした。

菅さんは、かなり複雑なこうした経済の話を熱心に聞いた末に、「高速道路無料化は、小泉政権の道路公団民営化よりもはるかに国民のためになる。これができれば民主党は政権が取れる。ぜひやらせて欲しい」と言うのです。

さらに、「提案を持ち込む人は多い。でも、提案の実現のために選挙に出るという(馬鹿な)人はめったにいないから信用する」と笑いながら言いました。

理解するとその場で党幹部に電話を入れた

そして、早速その場で、党幹部に説得の電話を入れました。私は、「この人が政権を取れば日本は変わる!」と思ったものです。

しかし、高速道路無料化を民主党の政策に掲げようとして、菅さんは大きな抵抗に遭いました。単純な無理解のほかに、道路公団民営化を進める自分の顔をつぶすな、という評論家など、様々なケースがありました。

それでも、9月の下旬に菅さんから呼び出され、「高速道路無料化をマニフェストに入れて総選挙を戦いたい。その際には、次の内閣の国土交通大臣を引き受けてほしい」という要請をお受けしました。

でも、結局、菅さんが次の内閣を久米宏さんが司会するニュースステーションで発表したのは投票直前の11月6日でした。

直後の総選挙で菅さんが第一声を上げたのは、私が作った「高速道路永久無料券:政権交代で本物になります」の大きなパネルの前でした。

年金の未納問題で党首を辞任

アクアラインの料金所に近い千葉県木更津市の田んぼの中からも菅さんは演説しました。自由党との合併を成し遂げた民主党への期待が地方で高まりました。結局民主党は40議席を増やして177議席を獲得し、政権交代が現実的なものになりました。

しかし、登り坂だった菅さんが自分の年金の未納問題で党首を辞任したのは、翌2004年の5月でした。役所のミスが原因だったことが後日分かっても後の祭りでした。

辞めた後にお目にかかった菅さんは、人事や組織について実に率直な反省の言葉を述べられました。正直でまじめな菅さんのお人柄に触れて、私はぐっと胸が詰まりました。そこで、思わず申し上げました。

「今のお言葉は、とても尊いと思います。でも、何をおっしゃっても言い訳をしている、としか世間は思わないでしょう。昔から、黙って頭を丸める、坊主になる、と言います。頭を剃って山に上り、それから田舎を歩いて国民と触れ合ってはいかがでしょうか」

「そうすれば、気持ちが伝わるでしょう。そして、菅も男だ、日本人だ、という声も出てくるでしょう。もし、坊主頭にされるなら私もつき合います。髪の毛も少ないですから」

頭を丸めてお遍路に旅立った

しばらくして、菅さんがうれしそうな声で電話してきました。

「山崎さん、私、頭を丸めましたよ。これからお遍路さんに行きます」

私は、「やられました」と言いました。そして、「東京では笑われるかもしれませんが、四国の人はうれしいですよ。祈る気持ち、地方の気持ちも分かりますよ」と申し上げました。その後2年間は、男の約束ですから、私も坊主頭にしました。

そうして菅さんは、四国八十八カ所のお遍路を始めました。同行2人、弘法大師との修行の旅です。バスにも乗らず、自分の足で、1カ月以上も炎暑の四国路を歩きました。学生時代に熊野を歩き、淡路島にまで行って「大」の字に寝たとき以来だそうでした。

今年の6月8日に、菅総理は就任に当たっての記者会見の中で、次のように話しました。

「総理になったからには、もうあまり個人的な時間は取れない。本当なら53番札所まで来ているお遍路も続けたいところだが、今しばらくはそれを後に延ばしても、ある意味では官邸を中心に、これこそが修行の場だという覚悟で、日本という国のため、さらには世界のために私のあらん限りの力を尽くして良い日本を、良い世界をつくるために全力を挙げることを国民に約束する」

戦後最も困難な運営を迫られる民主党政権

菅総理には、まさに厳しい修行の道が待っています。参議院選挙を乗り切って3年後の総選挙まで政権が続いたとしても、戦後最も困難な運営を迫られるでしょう。

ほぼ確実な国債のメルトダウンからくる金融システムと財政の複合危機は、放置すればリーマン・ショックやギリシャ危機を超えるでしょう。

そこに、東京などの大都市部で急速に進む高齢化による財政と国民生活の危機、さらに、世界的なエネルギー・食料・資源の不足と価格高騰が重なれば、財政と企業の破綻リスクと国民生活の窮乏、などの波状攻撃はこれまでの想定を超えてしまうかもしれません。

そのうえ、世界での危機は、経済を超えて動乱や戦争やテロを誘発し、大国間の軍事緊張にさえつながりかねません。

これまでの日本は、小泉改革などと言いながら、輸出型製造業依存、東京一極集中、過密と過疎、こうした20世紀型の国家モデルからの根本転換を避けてきた末に、これから大都市と地方双方での同時沈没の衰退圧力にさらされます。

静かに忍び寄る1945年と同じような“敗戦”
近未来をシミュレーションすれば、菅政権が発表した成長戦略では、到底力不足であることも明らかになるでしょう。

もっと抜本的に、日本の資源のすべて、人材、資金、知恵を動員して、国土と人間という根っこから日本を転換しなければ、日本人の生存の危機につながる事態が訪れるでしょう。1945年のような敗戦が静かに忍び寄っているのです。

別の角度から言えば、お金さえ出せばなんでも安く買える、という時代が終わろうとします。

最初の国勢調査が行われた明治22年に人口が一番多かったのは、東京ではなく新潟県でした。お米が取れたからです。大阪に住んでいた私の母親によれば、戦時中よりも終戦後の方が生活は苦しかったそうです。

配給の食糧がなくなって農村に米などの買い出しに行き、燃料にする薪を拾いに行ったそうです。

この先、日本で最も困るのは東京や大阪などの大都市

これから世界的な食料と燃料の不足が来れば、日本で真っ先に困るのは、東京や大阪です。その時になって、昔のように着物を売って農家からお米を分けてもらうのでしょうか。そんな着物がありますか?

石油やウランが少なく高くなれば、太陽光や風や水や潮流や緑から電気を作るしかなくなります。その時になって東京の都心に太陽光発電をつけても遅いでしょう。

大都市は、高齢化の直撃も受けます。首都圏の高齢者はこれから20年間で350万人も増えます。借家に1人で住む人が多いのが大都会です。そんな人たちが、体が不自由になれば、お世話をする施設が必要です。

今でさえ足りない病院や介護施設が将来はもっと足りなくなることは分かっています。20年後には、首都圏の平均所得が25%も減りますから、自治体の収入は半減するでしょう。

でも、自治体は、爆発的に増える高齢者のための病院や介護施設を造らなくてはいけなくなるのです。横浜や柏、越谷といった自治体でも、このままでは破綻します。

田舎こそがこれからの日本の成長を支える

施設をいっぱい造れても、食料や燃料をどう確保するのでしょうか。その時になって、田舎に行くというのでしょうか。

今は使われていない農地や土地がいっぱいある田舎に仕事があり、都会の人も引っ越せるような国にしないと、日本人は餓死者や孤独死者が続出する大都市に閉じ込められることになりかねません。

田舎こそ、田園こそ、日本の生存と成長を支える所にしないと大変なことになります。せめて、高速道路くらい無料にしなければ、日本の田舎は人の住めない過疎のままです。

それも、大都市から遠く離れた所だけではありません。神戸から4キロの淡路島はほとんどが過疎地域、川崎からアクアラインで15キロの木更津では、1坪3万5000円の立派な住宅地が放置されています。

こうした深刻な問題を民主党政権は分かっているのでしょうか?

無料化の効果を全く分かっていない国交大臣

高速道路無料化を担当するはずの国土交通大臣を見る限り、全く分かっていません。前原誠司大臣は「高速道路無料化を実行する」と言って大臣になりながら、就任した途端、「JRとフェリーの経営に影響があるから」と言って、マニフェストでは1兆3000億円とされていた高速道路無料化予算をわずか1000億円にまで減らしました。

その結果、8割の高速道路が自民党時代よりも値上げ、という滑稽な結果になりました。それが問題になると、「小沢一郎幹事長のせいだ」と言い出し、メディアと国民の喝采を浴びました。

じっと経緯を見ていた私に言わせれば、なぜ、前原大臣は、小沢幹事長が道路の暫定税率の2兆5000億円を復活させた時に、せめて5000億円でも高速道路無料化に寄越せ、と怒鳴り込まなかったのでしょうか。

あるいは、亀井静香・前金融大臣の一声で、2009年度の補正予算が、自民党型公共事業に1兆円上乗せされた時に、無料化の予算を復活せよ、と要求しなかったのでしょうか。

そうした時に、前原大臣は「ほかの交通機関への影響を重視して」、高速道路無料化の予算要求を全くしませんでした。「地域住民の生活コストを下げる」という民主党マニフェストを反故にしたのです。

同じ4キロの橋なのに、2300円と350円の違いはなぜ?

その後、あろうことか、前原大臣は、本四架橋の通行料金を上限5000円にまで引き上げることを自ら案に盛り込みました。その結果、わずか4キロの橋を渡るのに、鉄道がない淡路島の住民は2300円を払わなければなりません。

一方、関門橋は、なぜか同じ4キロでも350円です。また、同じ本四架橋でも、瀬戸大橋を渡るJRの料金は陸上と変わらないです。

こんな住民や消費者を馬鹿にした料金体系を守ることに、前原大臣は一生懸命です。まさに、生活者よりも、業界の利害を重視する族議員政治の復活です。

マニフェストで約束した今年の「社会実験」予算の6000億円があれば、首都や阪神、名神・東名といった大都市を除き、距離で言えば全国の8割に当たる地方の高速道路は無料になったはずでした。

それが、前原大臣によって踏みにじられているのです。最近、あまりの批判に、1000億円の予算を少し増やすと大臣は発言していますが、どこまで信用できるでしょうか?

二転三転する大臣の方針

問題なのは、我が国の国土交通政策の最高責任者である大臣の方針が明確でないことです。評論家の猪瀬直樹氏など、これまでの高速道路無料化反対の方々は、反対であることを明言しています。その点だけは、正々堂々としています。

国民は、議論を判断して賛成・反対を決めればいいのです。

ところが、前原大臣は、「鳩山総理大臣の第1の指示として、高速道路の無料化を実行します」と昨年9月の就任時には明言し、菅内閣でも大臣を続けながら、いつの間にか、高速道路無料化を骨抜きにし、地方の失望を招き、国土交通委員会で大臣の案が審議できない異常事態になりました。

ただの経済オンチでは済まされない、国民と総理への裏切りでした。このまま放置すれば、前原大臣を再任した新政権の責任になってしまいます。

2003年から、民主党は、政権交代に向けた看板政策として高速道路無料化をマニフェストに掲げ、地方からの期待を集めました。

6000億円の予算を確保できない政権に何ができる

2010年度に高速道路無料化が実施される地域は大幅に削られた〔AFPBB News〕
しかし、いざ政権が交代すると、担当大臣は、財源がない、JRやフェリーが困る、といった理由で今年の無料化の対象路線をマニフェストの予定の6分の1に削りました。だから、6月28日からの無料化と言っても、ほとんどの地域は無料化には関係ありません。

地方には失望と怒りが広がっています。地方からの支持で政権交代を実現した民主党が、地方の期待を裏切る結果になっているのです。

そもそも、高速道路ユーザーは、2兆5000億円の料金を払い、そのうえに、1兆円以上の税金を払っています。自動車ユーザーは、2兆5000億円もの暫定税率分の税金を払い続けることになりました。

受益者負担と言いながら、そうした税金を自動車ユーザーのために使わず、マニフェストで今年実行するといった6000億円の予算すら確保できないなら、そんな民主党政権に、財政再建、経済成長、地方経済の活性化、そして、生活者第一の政治は実行できるのか、と厳しく問われるでしょう。菅政権は、今後どうすべきでしょうか。

これから財政危機を克服し、経済成長と両立させるには、費用対効果を分析し、効果の高いものから実行するためには、菅総理が唱える「最小不幸社会」が指針になるはずです。

子ども手当の乗数効果は低い

例えば、子ども手当の予算は、今年2兆2500億円、翌年からは4兆5000億円です。でも、豊かな家庭に子ども手当を配っても、半分は貯金に回ると予想されています。そうなれば、「乗数効果」は0.5です。

全員にばら撒くのではなく、交通事故や癌で亡くなった方の遺児、困窮家庭や母子家庭などの子供たちなど、経済的な理由によって大学はおろか高校にも行けない子供たちに絞って、努力と才能があれば、お金がなくても大学院まででも進学できるように分厚く予算を配分するのです。

教育での最小不幸社会が実現するでしょう。その際のコストは今の子ども手当の10分の1以下でしょう。

最小不幸社会の原理は、高速道路無料化にも適用できます。地方だけに実施を限定して財源を圧縮しても、十分効果を高められます。

新幹線、空港、JR、私鉄、地下鉄、バス、タクシー。あらゆる交通に恵まれ便利な大都市の高速道路を、財政が厳しい時に無料にする必要はありません。だから、首都・阪神・名神・東名、といった大都市部や大都市間の高速道路は、有料を維持して料金収入を確保すればいいのです。

英ケンブリッジ大の試算では年間10兆円の効果が期待できる

それで、全国の通行料収入の半分が確保できるはずです。そうすれば、高速道路無料化に必要な財源が、1兆3000億円から半分以下の6000億円に減り、財政に貢献します。

一方、日本の8割の地方は、交通の面から言って不幸です。自動車しか交通手段がないのに、自動車が速く移動できるはずの高速道路すら、料金が高すぎて日常生活に使えないのです。

日本の8割の地方の交通面の不幸を減らすには、まず、6000億円の予算で全国の8割の高速道路を無料にすることです。すると、英ケンブリッジ大学のモデルで推計すれば、年間10兆円以上の経済効果が生まれます。

費用対効果が非常に高い理由は、高速道路が無料になれば、今まで使わなかった人が毎日でも高速道路を使い、今まで行ったたことのなかったところに行き、今まで住めなかったところに住めるようになるからです。

移動が速く安くでき、大都市よりもはるかに安く広い土地を使うことで、今までできなかった商売や活動ができるようになり、コストが安い地方に仕事が生まれ、儲けが出て、税収が増えるからです。

マニフェストの半分の予算で地方の活性化が可能に

さらに、地方にも、鉄道や路面電車を整備し、市街地の歩道や自転車道も整備すれば、町に活気が生まれます。

そして、地方の交通の不幸と不公平の象徴である本四架橋などの橋の料金を無料にすることも、年間1000億円の予算で可能です。必要な予算は合計して7000億円で済みます。

こうして、地方だけに高速道路無料化を限定することで、マニフェストの予算の約半分で、地方の交通と経済の不幸を減らせるはずです。

四国を自分の足で歩き、多くの人と触れ合い、地方の苦しみや悩みも知った菅総理が、指導力を発揮し、高速道理無料化に託した地方と日本の希望を実現する時です。

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