山﨑 養世の日本金融再生論
列島快走論と金融再生論の共通点
POINT.1 POINT.2 POINT.3
高速道路も不良債権問題も、根本的な原因は「東京一極集中の戦後・経済成長システム」にある
戦後日本の経済システムは、ヒト・モノ・カネ・情報を東京、あるいは「太平洋ベルト地帯」に集めて、至上命題の「成長」を実現してきました。その物流の大動脈の役割を担ったのが東名~名神を軸とした高速道路のネットワークです。しかし、その結果として、国土のわずか3%の土地に全人口の65%の人が住む、ゆがんだ大都市化現象が生じました。首都圏人口はこの150年間で100万人から33倍の3300万人に膨れ上がっています。
「日本列島快走論」は、地方分散にブレーキをかける「関所」になってしまった“料金所”を取り払い、東京一極集中の流れを地方に逆流させる提言といえます。
この東京一極集中という点では、いまの大手銀行を中心とした金融システムもまったく同じ性格をもっています。戦前のアメリカの大恐慌時代にそっくりの大手銀行中心の単線型の金融システムは、東京に本社を構える大手銀行と大企業にカネを集中させる強固な仕組みです。事業会社、保険、年金、証券、不動産をむすぶ中心に大手銀行があります。大手銀行の存在なくしては、金融は動かず、大企業の生産活動もその影響下にあるのです。大手銀行は主要取引先の大企業との関係を重視しており、その体質からして地方の中小企業やベンチャー企業に目を向けるノウハウも動機付けもないというのが現状です。
1990年代のバブル経済崩壊後の不良債権問題は、根本的な解決を先送りして、21世紀を迎えました。国民経済を犠牲にした日銀の「ゼロ金利政策」と12兆円にのぼるの公的資金の注入をうけて、大手銀行は一部の破たん処理を除いて延命させられました。しかし、国際的な銀行のルール(いわゆるBIS規制)を守るためには、自己資本の減少に合わせて資産である貸し出しを減らすしか生き残る手立てはなく、各地で激しい“貸し渋り”や“貸しはがし”が横行しているのです。金融を人体に流れる血液にたとえる例は顕著ですが、いまの大手銀行の様子を高速道路にたとえれば、大動脈の東名~名神ルートはとうに大渋滞を起こして、本来の通行量の10分の1の量も流れていないと言えるでしょう。

大都市一極集中の問題
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